ペットクリニック大橋 院長のブログ

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カテゴリ:緩和ケア( 3 )

動物のターミナルステージを考える1ーぜんぜん足りてない

緩和ケアマニュアル(最新医学社)によれば
人のガン治療などでの、緩和ケアのターミナルステージは
以下のように4つに分けることができるそうです。

ターミナルステージ(生命予後)
・ターミナル前期(数ヶ月)
・ターミナル中期(数週間)
・ターミナル後期(数日)
・死亡直前期(数時間)

ライフスパンの違う動物に、そのまま当てはめることは
できないかもしれませんが、このように時期を分けて
治療方針を立てて行くことは、とても参考になります。

ここでその治療の詳細については述べませんが
一つ気になることが。

当院も含めて、現在の家庭動物に対する獣医療では
後期から直前期にかけて、本当に大切な最期を迎える時の
対応が不足しているのではないか。

ある意味、お家の方任せになってしまっていないか。


文献的な資料や臨床例の蓄積など、ほとんどない分野なので
手探りならざるを得ませんが、単なる経験的なもの以上のケアを
実施できるよう、力をいれて強化していきます。
by petclinico | 2014-04-17 11:48 | 緩和ケア | Comments(0)

「夜と霧」、小さな希望、動物たち。

少し前にV・フランクルの「夜と霧」が注目されている
という話を聞きました。NHKのテレビでも取り上げられたようです。

ホロコーストという、人類史上に残る過酷な体験を綴ったあのような本が
どうして今の日本で取り上げられるのか、もちろん正確にはわかりませんが
「希望をみつけていく」ということなのでしょうか。


人類史の問題ではないけど、ずっと身近でささやかかもしれないけど
私たちに深刻な問題となるのは、大切にしている家庭の動物が比較的短期間で
命を終えるであろうことがわかった場合です。

その動物のお世話を続けていくことには、大きな悲しみが伴います。
悲しみには大きな力があっても、状況を変えることはできません。
希望も同じで、圧倒的な生命の成り立ちの前では、状況はかわりません。

しかし、動物たちはどんな状況でも淡々と生き続け
私たちに小さな希望を見つけさせてくれます。
その積み重なりは、私たちの大きな何かになってくれます。


読み返してないので、正確ではないかもしれませんが
「夜と霧」でフランクルが、ユダヤ人収容場の劣悪な宿舎からでて(帰る時だったかな)
強制労働に向かう時、空に光とともに奥さんの顔を思い浮かべ
活力を取り戻すシーンが印象に残っています。
再会はかなわなかった訳ですが。
by petclinico | 2013-09-28 16:31 | 緩和ケア | Comments(0)

動物の緩和ケアこそ僕たちの主戦場です。

<動物の緩和ケア1>
緩和ケアこそ僕たちの主戦場

誤解を恐れずにいえば、緩和ケアこそ動物病院にとって最も重視すべき分野だと思っています。同業の方だけでなく一般の方からも、そんなことないだろ、病気の予防は?病気の根治(完全に治すこと)は?それができなくて、どうしようもない時が緩和ケアだろ、という声が聞こえてきそうです。

一方、緩和ケア?そんなの常識だろ、手術時や慢性関節炎に鎮痛剤を使う、がん動物の痛みを管理する、そんなの今やあたりまえだ、とも。でもそういう技術を積極的に導入することと「緩和ケアこそ僕たちの主戦場だ」と考えて診療することは似ていても異なることだと思います。

何が違うんだ?

またまた誤解をおそれず端的にいえば、動物の存在への畏怖の念の有無だと思いますが、
書いてて僕もちょっと考え中です。もうちょっと良い言い方がないものかと。


よく参考にする本に「緩和ケアマニュアル 第5版」(淀川キリスト教病院ホスピス編 最新医学社)という本があります。

ヒトの医学書ですが、好きな本というと変ですが、「主戦場」にしている医療施設の方に向けた本で、動物に適用するには注意が必要ですがとても参考になり、心うたれます。(ぼくたちはもちろん「ホスピスごっこ」をしようとしている訳ではありません。)

今後このブログで僕が「緩和ケアマニュアル」と書くときはこの本のことです。


この本の最初に、人がん患者のホスピス入院時の多くみられる主訴(患者の訴え)がしるされています。以下多い順です、パーセントは省略します。

1. 痛み 2. 食欲不振 3. 全身倦怠感 4. 腹部不快・膨満感 5. 呼吸困難
6. 吐気・嘔吐 7. 咳・痰 8. 不眠 9. 便秘 10. 意識障害
11. 嚥下困難 12. 浮腫 13. 口渇 14. 頭痛 15. 歩行困難

これらの症状は緩和ケアの対象だということもできます。3.や13. 14.などは口のきけない動物ではわかりにくいかもしれませんが、注意深い観察により「動きが少ない」「水を良く飲む」というかたちでお家の方が気づくでしょう。

この順番がそのまま動物にあてはまるかもわかりませんが、これらの症状がよくみられ生活を大きく損なうことは確かです。

これらの症状の軽減に徹底的に取り組むことが僕たちに求められることも、また明らかです。
by petclinico | 2012-10-29 21:54 | 緩和ケア | Comments(0)