ペットクリニック大橋 院長のブログ

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カテゴリ:猫さん生活エンリッチメント( 11 )

猫さん生活エンリッチメントの話10ー越えたい壁

先日、アメリカの獣医で動物行動学者のニールソン先生という方の講演会に
参加しました。猫さんのストレス管理と膀胱炎の関係についての
内容だったので、楽しみにしてでかけました。

前述の10年前のバフィントン先生の話と、それをもとにした最近の
一連の当ブログの内容と比べて、特に新しい話題はありませんでしたが
新しい栄養面の取り組みが、ストレス対策に有効であることなど参考になりました。

最新の知見により、猫さん生活エンリッチメントの取り組みに誤りがないことと
ますます重要であることが確認できてよかったです。やはり生活環境の整備と
栄養管理などを一括して行うのが効果的なようです。

そして、猫さんのための様々な取り組みを、お家の方に継続していただく
その責任の半分は私たち獣医にあるのだ、という言葉が印象にのこりました。

今回の取り組みのなかで皆さんと様々なお話をする中で、理論的に良いと
されていることの重要性と、それの必要性を知り実行することの間にある
超えなければならない壁も感じました。私自身の側にも。

それを超えることが、猫さんたちはじめ様々な家庭動物たちと私たちの
「健康」に大きくかかわってきそうです。
by petclinico | 2014-02-24 22:27 | 猫さん生活エンリッチメント | Comments(0)

猫さん生活エンリッチメントの話9ー物語としての猫さん、あるいは鏡として

物語としての猫さんだって?

ありのままの猫さんを大切にするんじゃなかったの?
といわれそうですか、今回は私の考えを書かせてください。
(ブログなのでご勘弁を。まったくもって独断に基づきますが。。。)

そう、猫さんは自然な存在で、生活環境の改善によりストレスのない
生活を目指そうというのが、最近書いてきたことでした。

しかし一方で、そのナチュラルさゆえに私たちにとって
どんな存在にもなってくれます。
それは時に、我が子であり、恋人であり、悲しみや喜びを共にする友人にも。

犬のような高い感情共有力により、私たちとコミュニケーションをとる訳では
ありませんが、ただそこに居るだけで私たちの感情を受け止めてくれます。
そこにはたしかに「物語」があるんじゃないか、と思うのです。

だけど猫さんは本当に受け止めてるのでしょうか、私たちを。
わかりません。猫さんは自然にあるがままに生きているだけです。
むしろ鏡のような存在なのかもしれません。

私たちをより良く映すためにも、鏡は曇りのない方がよいですよね。
by petclinico | 2014-02-14 19:28 | 猫さん生活エンリッチメント | Comments(0)

猫さん生活エンリッチメントの話8ー食事について3つのポイント

今回は生活エンリッチメントの観点から、猫さんの食事選びについて
3つの観点から考えたいと思います。

肉食性、ネオフィリア/ネオフォビア、それと病気です。


まず肉食性の話。ご存知の通り猫さんは純粋な肉食です。
肉を中心とした雑食であるワンちゃんや、本当に雑食な私たちとは異なります。

本来はネズミ等の小型げっ歯類を頭からまるかじり。時に小鳥もといった様子。
それを実現してあげれば良いのでしょうが、そうはいきませんね。
それに母親から狩りを習っていない猫は、ネズミを丸ごとは食べない可能性も。

私たちが食べる「鶏肉」では栄養をみたしません。
そこで本来必要な栄養を満たすにはキャットフードが一番
ということになりますがここで注意が。

市販されているドライタイプのフードはほとんどが「総合栄養食」
であるとは思います。しかし安価な物を中心に炭水化物(穀物)の
比率の高い物がおおいのです。猫さんには高タンパクの食事が必要です。


次に、ネオフィリア(新し物好き)とネオフォビア(新規恐怖症)の話。

猫さんたち肉食動物には、本来いろいろな物を食べたがる性質=ネオフィリアが
備わっています。そうして食物のバランスをとるようにしているのですね。

だから子猫にいろいろな物を与えれば食べます。しかしそれが過ぎると飽きやすく
本来食べるべきフードもなかなか食べない、すぐ他の物を欲しがる猫さんに
育ってしまう可能性があります。

一方、かたくなに同じフードしか食べず、他の物を食品と
認められない=ネオフォビアの猫さんもいます。

これにはいろいろな原因が考えられますが、発育期に穀物含有の多い
固定されたフードしか食べていない場合や、現在の生活環境に強いストレスが
かかっている場合が考えられます。

ここまでの話から考えると猫さんには、良質なフードを適度に変化を付けて
(ドライだったり缶だったり、そんなにコロコロ変えるのでなく)用意して
あげるのが良いようです。しかしそれだけでは充分でないケースも。


最後は、病気の予防/治療のための食事選びです。

最近のこのブログでは、生活環境によるストレスが影響を与える病気
について皆さんにお伝えしてきました、膀胱炎や皮膚病、
便秘や肥満(糖尿病・肝臓病)などです。

しかしこれらの病気にはストレス以外に内科的、外科的な要因も
たくさんあります。それらを解決するのに治療用のフードが役に立つのです。

もちろん薬ではないので「効能」が保証されるわけではありませんが
食事の性質や栄養管理が独特で、繊細な猫さんだからこそ治療の補助として
食事選びが大切なのです。そしてその「効果」を見守ることも。
by petclinico | 2014-02-11 13:11 | 猫さん生活エンリッチメント | Comments(0)

猫さん生活エンリッチメントの話7ー私たちを超えた存在

猫さんが家具を引っ掻く、テーブルに乗る、隠れてしまって
姿がみえなくなる、あるいはトイレ以外の場所におしっこする。

これらは「問題行動」ですが「異常行動」ではありません。
どういうことかというと、上記の行動は
私たち生活する人間がこまる「問題行動」であり猫さんにとっては
正常な行動です。病気等による「異常行動」ではないのです。

しかし猫さんたちは私たちと共に暮らす存在です。いくら本能に根ざした
正常行動だからといって、すべて許されるわけでもありません。

「問題行動」の解決は繊細な問題を含み、個別の事情に応じた解決策が
はかられるべきなので、ここで解決法についての詳細は述べません。
動物病院にご相談ください。しかし原則があります。

対案と許容です。

家具ではなく引っ掻いてよい物を用意する、それも意味のある場所に。
のぼっても良い高い所を用意する、安心して隠れられ逃げ道もあり
私たちに分かる場所に寝床をつくる、などが対案です。

さらに不適切な排尿(マーキング)については、前回書いたトイレ対策や
猫さんのテリトリーに対する不安要素を軽減することが有効です。

そして猫さんたちの行動を可能な範囲で許容すること、これが重要です。
叩いたり、大きな声で叱って脅しても「問題行動」の解決にはつながりません。

猫さんはある意味、私たちを超えた存在なのだと思います。
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しかしすごい雪だな。
by petclinico | 2014-02-08 14:19 | 猫さん生活エンリッチメント | Comments(0)

猫さん生活エンリッチメントの話6ートイレと食事は快適にニャ

猫さんたちにとって快適なトイレと水飲み/食事スペースは
とても重要です。

前述のバフィントン先生の講演をもとに、現在一般的に
推奨されている具体的な対策をまとめてみます。


トイレについてはまず、猫さんの数プラス1カ所用意する。
さらに違うタイプの砂を同時に使用して、どれを好むかをみることが
推奨されています。大変ですが。

また清潔であることが重要でこまめな掃除や、週1回程度砂の全交換と
洗浄がすすめられます。これも大変ですね。

トイレと食事スペース共通の注意としては、静かな目立たない場所にあること
突然スイッチのはいる家電製品(冷蔵庫など)のそばをさける、
トイレと食事を近くに置かない、などがあります。
トイレに囲いをつけて目隠ししてあげるのも良い方法です。繊細ですね。

トイレの改善と飲水量(水分摂取量)を増やす工夫が
猫の特発性膀胱炎の再発防止に推奨されています。


お水については水飲み場をやはり複数箇所にする、
風呂場など猫さんの好む場所にする(溺れないように注意!)などがあります。

ミネラルウォーターはやめましょう。
缶フードは水分が多い点はすぐれています。
(市販の“猫缶”はバランスのとれた総合栄養食でない物がほとんどです。
ご注意ください。)

また探索欲求をみたし、運動量を増やすためにフードを
わざとわかりにくい所におく、という方法もあります。
(きちんと一定量を食べられているかを確認してください)


ちょっと羅列した感じになっちゃいました。すいません。
by petclinico | 2014-02-05 16:24 | 猫さん生活エンリッチメント | Comments(0)

猫さん生活エンリッチメントの話5ーはじめの基本は必需品

猫さんにとっての生活必需品とは何でしょうか?

快適なお家と、おいしいフードは当然として
もうすこし考えてみると

・快適なトイレ
・やはり快適な水飲みと食事スペース
・引っ掻く(マーキングする)ことのできる対象
・安心できる休憩スペース(隠れ場)
・おもちゃ(狩りの練習用?)
・大好きな膝の上(これは猫さんによりそう)

こんな所でしょうか。

それぞれ用意してあげることは、簡単そうに思われるかもしれませんが
それが意外と難しい面もあるのです。

まず私たちの考えと、猫さんたちの好みが本当に一致するのか、
さらには猫さんのライバルの存在、それは同居の猫さんかもしれなし
ワンちゃんや小さなお子さんかもしれません。

これらの生活必需品を、いかに猫さんたちに用意してあげるか
それが生活エンリッチメントの、はじめの基本的な検討となります。
by petclinico | 2014-02-04 22:23 | 猫さん生活エンリッチメント | Comments(0)

猫さん生活エンリッチメントの話4ーすべてストレスのせい?

猫さん週間、最初の1週間が終わりました。皆さんと話をしてきて
今回の取り組みの意義を改めて感じましたが、一方難しい点もわかってきました。

環境ストレスが関与しているのではないかという明らかな異常、
例えば脱毛症だったり膀胱炎の場合は別として、因果関係がわかりにくい
原因不明の慢性嘔吐などの場合、また身体的異常が全く見られない場合
どの程度の環境改善をすすめるべきか、具体的な行動への結びつけ方です。

またの当たり前のことですが、環境ストレスの要素に注目しすぎて
その他の病気の原因へのケアがおろそかになってはいけません。

環境ストレスが重要な要素であることがわかっている、猫さんの病気は
・特発性膀胱炎
・脱毛症
・便秘症
・ウイルス感染症
・肥満(糖尿病)
などが代表的ですが、その他にも関与が疑われる健康の問題は
本当にたくさんあります。

一方、それぞれの病気には環境ストレス以外の原因も
いろいろと考えられます。
すべてストレスのせい、ではないのです。


病気の猫さんも、そうでない猫さんもより健康であるために
生活環境のエンリッチメントを確実に進めることや、
ストレス以外の病気の要因の確認や食事についての見直しも重要です。

やはり総合的な「猫さん生活エンリッチメント」をめざし
皆さんとの話し合いをつづけていきたいと思います。
by petclinico | 2014-02-01 22:09 | 猫さん生活エンリッチメント | Comments(0)

猫さん生活エンリッチメントの話3ー猫さんは外に出してあげれば大丈夫?

前回のブログで、猫さんは孤独なハンターで
狩りをして、広い活動エリアと縄張りをもつのが
本来の姿である、ということを書きました。

さらにいえば、猫さんたちは木や塀の上のような高い所に上ったり
茂みに隠れたり、草むらの陰で穴を掘って排泄するのを好みます。
なにか怖いことがあったら、すぐ逃げられるように注意しながら。

じゃあ、外に出してあげればいいじゃない。

そう思われる方もいるでしょう、
昔みたいに、サザエさんのタマみたいに。

しかしタマには大きな3つの危険があるのです。
交通事故と、他の猫とのケンカ、治療の難しいウイルス感染症です。
完全な室内暮らしの我が家のポポには、その危険はありません。

やはりタマよりポポの方が、幸せに長生きできる可能性が高いのです。
そこで室内環境をより猫さんに合ったものにする
エンリッチメントが必要なのです。

さらに今回は単なる「環境エンリッチメント」にとどまらず
基礎疾患の確認、食生活の見直し、私たちとの関係性の深化
それらをまとめた「生活エンリッチメント」です。

それが必要なのは猫さんたちだけでなく、
私たち自身なのかもしれません。
by petclinico | 2014-01-29 22:00 | 猫さん生活エンリッチメント | Comments(0)

猫さん生活エンリッチメントの話2ー猫さんは何者だ?

今回の「猫さん生活エンリッチメント週間」の元になった考え方は
動物園での野生動物飼育の考え方である「環境エンリッチメント」です。

動物本来の習性・性質を理解し、それを発揮しやすいように
生活環境を工夫し改善することです。

ここで疑問。猫さんとは本来どんな存在なのでしょう?
いつもゴロゴロして、かわいく、ふわふわしている、あの猫さんたちは。

以下は、前回のバフィントン先生の講演資料と
一般的にいわれている猫さんの姿です。

・孤独なハンター
・広い活動エリアとテリトリーが必要
・テリトリーには顔・足・尿・引っ掻き傷でマーキング

・ちょくちょく少しずつ食べる
・生きている小鳥や小動物をつかまえて食べる
・ハンターであると同時に自分も狩られてしまう可能性

・日の動きによるバイオリズムはあまりない
・完全な夜行性ではなく薄暗い明け方・夕方が活動的

なんか、思ってたよりワイルドですよね。
(うっかりおやじギャグが出そうに)

あの肉球のついている、かわいい足には
するどい爪がついているのです。

それがまた、たまらないですね。
by petclinico | 2014-01-28 20:34 | 猫さん生活エンリッチメント | Comments(0)

猫さん生活エンリッチメントの話1ー10年前の衝撃

もう10年ほど前のことになりますが、仕事場で
1枚のセミナーのチラシが目に留まりました。
「猫の特発性膀胱炎 最新の知見」というタイトルで、場所は六本木ヒルズ。

正直な所、場所にひかれて出かけることにしました。というのも
猫の膀胱炎は大変重要な病気のため、勉強する機会も多く
特に新しい情報もないだろうと思っていたのです。

ところがそこでのトニー・バフィントンというアメリカの先生の話に
軽い衝撃をうけました。

猫ちゃんの生活環境によるストレスが神経やホルモンの働きに影響し
膀胱炎の発症に関与している可能性があり、治療には生活環境の改善
それも出来るだけ猫ちゃん本来の習性にあわせた改善が、予防や治療につながる
という話は新しく、とても納得のできるものでした。

それまでも病気の原因として「心因性」という言葉は目にしていましたが
「猫ちゃん本来の姿での生活」と病気の幅広い関連の理解とはことなりました。

これ以来、「動物の本来の姿」を守ることによる病気の予防や治療は
私にとって大きなテーマとなったのです。

現在当院では「猫さん生活エンリッチメント週間」として
この猫さん「本来の姿」を皆様と一緒に考えていきたいと考えています。

このブログでもそれに関連した記載を、しばらく続けたいと思います。
by petclinico | 2014-01-27 15:26 | 猫さん生活エンリッチメント | Comments(0)