「差別化」ではなく

先日、当院は無事に開院9周年を迎える事ができました。
ご来院いただく皆様と、動物達のおかげです。ありがとうございます。

そんな中、送られてきた1枚のダイレクトメールに目がとまりました。
ある「最先端の治療法」を導入して、他の動物病院と「差別化」をはかるため
必要なレクチャーとコンサル、器材の購入をすすめる内容でした。

やはり最新の治療には興味があるので、手に取ってよく読んだのですが
大きな疑問が2つ浮かびました。

1つはその治療が、本当に科学的に効果があるといえるのかという点。
学会で検討されている、効果的だった症例があった、というだけでは不足です。

もう一つは、皆さんは本当に、他の動物病院で行われていない
「当院だけの治療」を動物達に受けさせたいと思うのだろうか、という点です。

過去の当ブログでも書いたように、診療技術の進歩や高度化を
否定している訳ではありません。動物なんだから程々でいいじゃないか
なんていっているのでは断じてありません。

より長く共に生きられる、そのために治らなかった病気が治る
その事自体は素晴らしく、私たちが目指すものにちがいありません。

しかしその生きるということの中身、治るということの道筋は
動物達だからこそ、慎重に考えるべきで、私たちの一存で
決めてしまって良いのでしょうか。

「差別化」された動物病院でよいのでしょうか?


「差別化」ではなく、標準的な診療を確実に行い、皆さんに選ばれる
動物病院になるための努力を、10周年にむけて行っていこうと思います。
# by petclinico | 2014-05-16 21:49 | あいさつ

2014ゴールデンウィークの診療予定

当院の通常の休診は、木曜日の午後と日曜祝日なので
ゴールデンウィークもそのままカレンダー通りとご理解ください。


明日29日(火)は休診です。

30日(水)から5/2(金)は通常の診療ですが、5/1(木)は午前のみです。

5/3(土)から6日(火)は休診とさせていただきます。


休診日の急患の受付は、留守番電話となります。
診療ご希望の場合はメッセージを残してください。
すぐにこちらから折り返し連絡さしあげます。

ご通院、継続治療中のご家庭とは診療予定について
充分お話したつもりですが、何かご心配あれば早めにご相談ください。

皆様GWはどの様なご予定でしょうか。
私自身は子供とゆっくりすごし、ここの所の忙しさで
少し散らかってしまった院内と頭の中の片付けをしたいと思っています。

それでは、ワンちゃんは暑さに気をつけて
よい良い休日をお過ごしください。
# by petclinico | 2014-04-28 21:42 | ご来院の方への連絡

母はつよし

動物の出産、子育ての様子は
それはもう素晴らしく、感動的なものです。

当院は特定のブリーダーやペットショップと提携したりはしていないので
繁殖関連の診療は多くありませんが
時々、個人のお宅での出産、その後の子育てに関わらせていただきます。

心配や難しさも多いですが、やりがいのある仕事です。

母親動物には心打たれますが、その姿から大きなストレスが感じられます。
周囲を警戒しながら、まさに身を削って育てている。

ややそれますが僕自身、父親なわけですが
自分の子供がもっと小さかった頃と比べて
周囲への警戒というと大げさですが、緊張のようなものが
ずいぶん緩和して、オープンな気持ちになってきました。

やはり小さな子供を育てているお母さんのことは
デリカシーを持って、大切にしなければいけませんね。
# by petclinico | 2014-04-19 21:22 | その他

動物のターミナルステージを考える1ーぜんぜん足りてない

緩和ケアマニュアル(最新医学社)によれば
人のガン治療などでの、緩和ケアのターミナルステージは
以下のように4つに分けることができるそうです。

ターミナルステージ(生命予後)
・ターミナル前期(数ヶ月)
・ターミナル中期(数週間)
・ターミナル後期(数日)
・死亡直前期(数時間)

ライフスパンの違う動物に、そのまま当てはめることは
できないかもしれませんが、このように時期を分けて
治療方針を立てて行くことは、とても参考になります。

ここでその治療の詳細については述べませんが
一つ気になることが。

当院も含めて、現在の家庭動物に対する獣医療では
後期から直前期にかけて、本当に大切な最期を迎える時の
対応が不足しているのではないか。

ある意味、お家の方任せになってしまっていないか。


文献的な資料や臨床例の蓄積など、ほとんどない分野なので
手探りならざるを得ませんが、単なる経験的なもの以上のケアを
実施できるよう、力をいれて強化していきます。
# by petclinico | 2014-04-17 11:48 | 緩和ケア

ベートーベンに思う

先日うちの奥さんがベートーベン「第九」のコンサートに出演したので
娘と一緒に観にいきました。よく知っている有名なクラシックの大曲に
自分のもっとも身近な人間が参加しているというのは、なかなかに感動的であり
ちょっと不思議な気分でもありました。

ドイツでつくられ、オーケストラの演奏にのって
神をたたえるドイツ語の大合唱の曲を、たくさんの日本人が真剣にかなで
それをやはり日本人がみて、感動を共有している様を
何かおかしく(滑稽に)感じる人もあるかもしれません。

しかし私は身内として感動するとともに、このような取り組みが明治以降つづけられてきて
その事によって今の私たちの生活をどれだけ豊かにしてきたか、思いを馳せていました。
「豊か」というのは、何も精神的な事ではありません。まさに衣食住をです。

私たちが近代化の果てに、この安全で豊かな社会を手に入れるのに
どれだけ西洋音楽が貢献した事か。伝統的な西洋音楽を日本にもたらした
人びとはもちろん、それを受け継いで厳しい努力を重ねている
音楽家の人びとに敬意を抱かずにはいられません。(うちの奥さんにも)

一方、安全で豊かなはずの社会でもいろいろな問題があるのは当然で
日本でクラシック音楽に取り組む人びとには、さらなる活躍を期待してしまいます。

だけど自分もなんだよな。西洋からもたらされた獣医学を受け継いでいるんだから。
よく考えつづけないと。
# by petclinico | 2014-04-04 19:37 | その他

湘南藤沢・鎌倉地域で診療している動物病院、ペットクリニック大橋の院長ブログです。“より良く、より長く”どうぶつ達と皆様の“暮らしの健康”を守るお手伝いをいたします。


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