今回は生活エンリッチメントの観点から、猫さんの食事選びについて
3つの観点から考えたいと思います。
肉食性、ネオフィリア/ネオフォビア、それと病気です。
まず肉食性の話。ご存知の通り猫さんは純粋な肉食です。
肉を中心とした雑食であるワンちゃんや、本当に雑食な私たちとは異なります。
本来はネズミ等の小型げっ歯類を頭からまるかじり。時に小鳥もといった様子。
それを実現してあげれば良いのでしょうが、そうはいきませんね。
それに母親から狩りを習っていない猫は、ネズミを丸ごとは食べない可能性も。
私たちが食べる「鶏肉」では栄養をみたしません。
そこで本来必要な栄養を満たすにはキャットフードが一番
ということになりますがここで注意が。
市販されているドライタイプのフードはほとんどが「総合栄養食」
であるとは思います。しかし安価な物を中心に炭水化物(穀物)の
比率の高い物がおおいのです。猫さんには高タンパクの食事が必要です。
次に、ネオフィリア(新し物好き)とネオフォビア(新規恐怖症)の話。
猫さんたち肉食動物には、本来いろいろな物を食べたがる性質=ネオフィリアが
備わっています。そうして食物のバランスをとるようにしているのですね。
だから子猫にいろいろな物を与えれば食べます。しかしそれが過ぎると飽きやすく
本来食べるべきフードもなかなか食べない、すぐ他の物を欲しがる猫さんに
育ってしまう可能性があります。
一方、かたくなに同じフードしか食べず、他の物を食品と
認められない=ネオフォビアの猫さんもいます。
これにはいろいろな原因が考えられますが、発育期に穀物含有の多い
固定されたフードしか食べていない場合や、現在の生活環境に強いストレスが
かかっている場合が考えられます。
ここまでの話から考えると猫さんには、良質なフードを適度に変化を付けて
(ドライだったり缶だったり、そんなにコロコロ変えるのでなく)用意して
あげるのが良いようです。しかしそれだけでは充分でないケースも。
最後は、病気の予防/治療のための食事選びです。
最近のこのブログでは、生活環境によるストレスが影響を与える病気
について皆さんにお伝えしてきました、膀胱炎や皮膚病、
便秘や肥満(糖尿病・肝臓病)などです。
しかしこれらの病気にはストレス以外に内科的、外科的な要因も
たくさんあります。それらを解決するのに治療用のフードが役に立つのです。
もちろん薬ではないので「効能」が保証されるわけではありませんが
食事の性質や栄養管理が独特で、繊細な猫さんだからこそ治療の補助として
食事選びが大切なのです。そしてその「効果」を見守ることも。